心跳ねるまち ストラスブールへ
2016年9月
フランクフルト空港から、ルフトハンザエクスプレスのバスに乗ること数時間。
曇り空のストラスブールは少し肌寒かった。
ストラスブール(Strasbourg)は、ドイツとの国境に面するフランス東部アルザス地方に位置する都市であり、バ=ラン県の県都でもある。
アルザス地方の運命と同様であるが、この街は時代によって帰属がフランスになったり、ドイツになったり、を繰り返した。そうした領土を巡った戦争の反省からか、この地にはヨーロッパの裁判所や議会などの施設が置かれており、様々な中心として機能している。
一方、かわいらしい木組みの街並みや大迫力の大聖堂は多くの観光客を魅了しており、見どころは多い。
今回はそんなストラスブールを歩いてみようと思う。
■目次
▶プチ・フランス▶ストラスブール大聖堂
▶欧州議会・欧州人権裁判所
▶ストラスブールまち歩き
さて、旅の始めはストラスブール駅から。
ガラスのドーム状の駅舎で、ずいぶんと攻めたデザインだなと思ったら、どうやら古い駅舎を保護しているようなスタイルのようである。
さて、ここから街の中心まで歩いていこうと思う。
■プチ・フランス
アルザス地方の伝統的な建築として知られる「木組みの家」の街並みが見られる「プチ・フランス(Petit France)」という地区がある。
ストラスブール市街地を囲むイル川の分岐点に位置するこの地域は、運河に沿って美しい建物が並んでいる。
あぁ~^こころがぴょんぴょんするんじゃ~^
コルマールと共に、とあるアニメ作品の舞台のモデルになったストラスブール。
その世界に入り込んでしまった気分になる。
運河を船が通っていく。
すると、
橋が動き…
船が通過していく。
そろそろ現実世界に戻らなければ…。
おもちゃのような可愛らしい街並みを後にして、中心部へと歩いていく。
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■ストラスブール大聖堂
ストラスブール大聖堂(Cathédrale Notre-Dome-de-Strasbourg)は、町の中心に位置するストラスブールのシンボル的な大聖堂である。
大部分はロマネスク様式だが、ゴシック様式の代表作とされている。
142mの高さを誇る塔は、ストラスブールの街からだけでなく、アルザス平原のどこからでも見えるといわれている。教会建築では世界6位の高さである。
建設に200年以上を要しているというだけあって、このステンドグラスやオルガン、建物内外の彫刻は圧巻である。
外で作業されている方が…
ひぇー...大変だ。
夕方は太陽がちょうど大聖堂の正面に当たるので、写真を撮るにはいい時間帯だろう。
夜になると…
若干ホラーな感じになる...
さて、次はストラスブールの中心街を少し離れた場所へ移動する。
移動にはストラスブールのトラムを利用する。
ストラスブールは市内全域にLRT形式のトラムが張り巡らされている。
中規模都市であるストラスブールにとってはちょうどいい交通システムだといえ、日本も大いに参考にすべきである。
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■欧州議会・欧州人権裁判所
トラムで市街地から約15分。
欧州議会(Parlement européen)は、直接選挙で選出される欧州連合の議会組織。
ベルギーのブリュッセルでも同様の委員会、議会が行われる。
欧州人権裁判所(Cour européenne des droits de I'homme)は、欧州における人権救済機関である。
国家間だけでなく、個人や団体などの国家に対する提訴も可能であり、ここでの判決は各国の最高裁レベルの判決も覆せる力を持っている。
トラムの停留所の前には、さまざまな言葉でアピールする看板やポスターなどが設置されている。
異様な風景であった。
ストラスブールにこうしたヨーロッパの中心的な機関が設置されているのは、地理的にヨーロッパの中心であることに加え、ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)の総会がここで開催されたことに由来していそうである。先述の通り、かつてフランスとドイツはこのアルザスを戦争で奪い合った。フランス領になったりドイツ領になったりを繰り返したのである。
第二次世界大戦後、二度とこうした悲惨な戦争をしないために、アルザスの国境地帯の鉄鉱石や石炭といった資源を独仏で共有しようという考えが生まれた。
そこにベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)、イタリアが加わったものがECSCであり、現在のEUにつながる”考え方”となったのである。
ストラスブールやアルザスの存在は、現在のEUの源流といっても過言ではなさそうである。
さて、市街地へ戻ることにしよう。
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■ストラスブールまち歩き
どこを撮っても画になる街並みである。もう少しお付き合いいただきたい。
グーテンベルク像
グーテンベルクは、活版印刷技術を発明したことでよく知られている。
彼の出身はドイツのマインツだが、印刷技術の発明はここストラスブールで行ったといわれている。
彼の開発した技術は、「グーテンベルク聖書」として世に広まり、ルターの宗教改革だけでなく、のちの時代の科学革命にも貢献した。
大聖堂とトラム
やはり運河の街といった感じだ。
夕暮れの大聖堂
ストラスブールのトラム、なんと地下に潜るのである...
ストラスブール駅地下のトラム乗り場。
路面電車タイプの電車が地下を走るのには驚いた。
さて、まち歩きはこの辺にしておこうか
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今回訪れた場所を地図にまとめておいた。
さて、今回は古い町並みや建築が美しく、また、ヨーロッパの中心的機関の集まるストラスブールを訪れた。大規模な都市というわけではないけれど、魅力の多い町であるのは確かだ。
ただ、両替ができるスポットが少なかった印象があるので、そういった面では少し不便ではあった。
しかし、ライン川を渡ってドイツにも簡単に足を延ばせたり、アルザス地方の中心であったりすることから、この近辺の観光の拠点として滞在しても良いと思う。
聖地という意味では、同じアルザスに位置するコルマールにも行ってみたいものではある…。
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