或る旅2

おでかけ記録です。ライブドアからはてなに移転しました

ぼっちで韓国・ソウルに行ったら楽しかった話 ②

前回は(当初はそんなつもりはなかったのだが)ソウルの食事の話をメインにした。

今回はソウルの街歩きをしたい。
なお、今回は特に深いテーマがあるわけでも無ければ何か語りたい内容があるわけではないのでご了承いただきたい。
ただ、「ぶらぶら」しながら、「つぶやいたこと」を再現していく形になる。

ソウル都心部をぶらぶら歩く


弘大を離れ、明洞から歩いてみる。
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ソウル中心部の繁華街・明洞(ミョンドン)
なんだか、池袋とか新宿東口のような街だなと思った。

そういう意味では「面白くない」と感じた。
が、これは私がよく知らないだけで、実際はもっと奥深い街なのかもしれないし、よく知っている人と来ればよいだけの話である。

明洞はまたの機会に散策しようと、ソウル駅のほうへ歩き始めた。IMG_2411
こちらは韓国銀行の「貨幣金融博物館」である。
察しのつく方はわかると思うが、日本が統治していた時代に朝鮮銀行として建設したものが残されているのである。
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路地裏。看板が並んでいる様子が気に入った。怪しいものもたくさん売られている。
やはり「アジア」だな、と思った。
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都心にこういう風景が残っているのはいいなと思う。
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少し歩くと、南大門が見えてきた。かつてこの後ろには日本の朝鮮総督府の建物が鎮座していた。
すでに取り壊されてはいるが、当時は屈辱的だっただろうと思う。
この建物自体も2008年に一度放火により焼失しているが、修復も完了しもとの姿に戻っている。
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日本と変わらない普通の都市の風景が広がっているなか、このような表示を見ると「まだ戦争中」であることを思い出す。

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ソウル駅に到着。
赤レンガの建物とドームの屋根が東京駅を思わせる。
調べてみると、やはり東京駅を設計した辰野金吾の影響はあるようで彼の弟子の一人である塚本靖が設計に携わっているのだそう。
日本統治時代の遺構としてソウルの街を今日も見守っている。
もっとも、現在は駅機能のほとんどは画面左手にある新しい建物に譲っているようではあるが。

せっかくなので駅の中に入ってみる。
ヨーロッパも同じだが、長距離列車の乗り場は改札がなく出入り自体は自由にできる。
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KTXの列車が停車中。新型の車両のほうか。

北村韓屋村へ


さてと...
ここから地下鉄に乗り、少し移動する。
せっかくソウルに来たのだし朝鮮王朝の歴史にでも触れたい。

そう思っていた矢先。
ソウルの歴史スポット・景福宮が休館日であることを移動中に知る。

ぐぬぬ...

地下鉄3号線「景福宮」駅の一つ手前、「安国」駅で電車を降りた。
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安国駅を出て少し歩くと、「北村韓屋村」と呼ばれる地域にたどり着く。
ここは朝鮮王朝時代の王族や両班(ヤンバン)と呼ばれる貴族が住んでいた地域で、当時の伝統的な家屋が今でも残っている。
日本で言うところの金沢の武家屋敷街のようなものであろう。

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瓦屋根が並ぶ街並みは、少しばかりの懐かしさすら覚える。

チマチョゴリのレンタルもあるようで、観光客がそれを身に付けて歩いている。
京都の「舞妓さん」のようなものだろう。

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こちらは少し上流階級の邸宅だったのだろうか。広い庭がある。

ところで、この北村地区はただただ「伝統的家屋」が並んでいる、というわけではない。
それぞれの家屋には住人がいる、要するに「住宅街」なのだ。
それゆえ、押し寄せる観光客のことは良くは思っていない人も少なからずいるようである。
訪れる際はマナーを守って静かに観光したい。
もっとも、観光客もそこまで多くはなく観光地と呼ぶには静かすぎるので、そんなふうに騒げる空気でもないのだが。

韓国の鉄道が見たい


あてもなくソウルをぶらぶらしている。
今日中に国際線で次の国に移動するが、それまで時間がある。
だが、行きたいところは行ってしまった気がした。

なんとなく抱いていたもやもやがあったが、正体がわかった。
今回の旅は「鉄分」が不足しているのだ。
いつもは長距離であっても鉄道移動メインの旅行をしているが、今回は飛行機でしか移動していない。
「鉄道が足りない」
そう思った私は、「撮り鉄」でもしようとソウル近郊の「撮影地」を調べていた。

ソウル駅へ向かい、地下鉄1号線に乗る。
夕暮れの漢江を渡り新吉駅へ。
日本の鉄道系ブログでも何件か取り上げられているので、撮りやすいのだろう。
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急行線のホームからは、各地方へ向かう特急列車を見ることができる。
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KTXの列車。フランスのTGVを輸入してきた形である。
まあ、時間的にも遅めだったというのもあるが、少し暗くなってしまった。
本数は多いので、無限に楽しめる場所だとは思った。

ただ、韓国にはいわゆる「鉄オタ」文化がないらしい。
それゆえ、撮り鉄はホームで電車に向けてカメラを向ける不審者でしかない、というわけである。

もっとも、日本でもホームで電車を撮る人間の評価が韓国におけるそれと同じなのは間違いないだろうが。
韓国では鉄道も「軍事施設」なので撮影は気をつけろ、というのを聞いたことがある。
しかし、最近はそこまでピリピリしているわけでもない、とも聞く。
韓国の事情に詳しい人なら実態がわかるのだろうが、いずれにせよ、明らかに”ヤバそう”なのは撮らないようにすればいいだろう。

再び1号線で数駅移動する。
永登浦駅で降りる。
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ここは長距離路線の列車も停まる駅である。

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到着した長距離列車から降りて来る人々。
こういう風景が撮りたくてやってきた。現地の人々の「暮らし」を見るのが私は好きなのだ。
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ソウル近郊は、どの駅もホームドアがついていて地下鉄電車の撮影が難しい。
2日滞在してまともに撮れたのはこれだけである。
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ソウルにはたった2日と数時間しかいなかったが、なんだか日本の地方都市にいるような「安心感」があった。初めて来たうえ短期間しかいなかったのに、しばらく「暮らしていた」ような気分である。
個人的に、住んだこともない関西を訪れた時に抱く「安心感」に近い。

近いのになかなか訪れる機会のなかった隣国を、私は「異国」とは思えなかった。

そう思わせる居心地の良さが、この街にはあったのだ。上手く説明はできないけれど。

ピンチは突然訪れる

ソウルの夕焼け空を見つつ物思いにふけっていたところ、ふと腕時計に目がった。
18時である。

飛行機の時間が夜21時半
そこから逆算すると19時くらいには空港に着いていたい。
市内から空港までは40分。

...あれ、ヤバくね。

ここにきて、自分の状況を理解した。
そう、このままだと飛行機に乗り遅れる可能性があるのだ。

1号線は仁川に繋がっているから、このまま乗って行っても到達できるのだろうが、どれくらいの時間が掛かるのかが全く読めない。
一度ソウル駅に戻って、行きに乗った快速列車で空港に向かうことに決めた。

1号線でソウル駅へ向かい、空港行きの列車乗り場へ走る。

19時頃に乗れば19:40あたりには着くことになる。まだ大丈夫だろう。

時刻は18:55を過ぎたくらいであろうか。

窓口できっぷを購入する。
空港行き列車「AREX」は、乗車券のほかにレシート状の券が発行され、そこに列車の時刻や座席の位置が記されている。
「19:30 ソウル発 仁川国際空港行き」

ん...??

急いで時刻表を確認する。
19時台は30分が一番早い便だった。
タイミングの悪いことに、列車は18:50に出発したばかりだったのである。
なんで19時発にしないんだよ(怒

30分ほどソウル駅の待合室で何もできずに待つことしかできないのである。

乗る予定の航空会社のチェックイン締め切り時刻を調べる。
「搭乗の1時間前」だそうだ。
つまり、今回は20:30がチェックインの締め切り、ということである。
レシート状の券には「20:12着」とある。
希望はまだ、ある。

空港行きの列車は定刻にソウル駅を出発し、地下区間を出るとスピードを上げた。
流れていく窓の外の景色を眺めながら、あれこれ考える。
マカオ行きのチケットは、8000円で手に入れたものだ。
日本からマカオへ直行するよりも1万円くらい安いというだけでわざわざソウルを挟んだのだが、その作戦が失敗したら、ここで”負け”たら、私の旅は終わってしまう。

なんとしても、乗らねばと決めた。

列車のモニターには、英語で「独島は韓国の領土である」とアピールする動画が流れている。
ここまで殆ど感じられなかった「日韓の対立」をようやく感じられたのに、今はそれを”楽しむ”余裕がない。

40分ほどで空港駅に到着した。
ドアが開くと真っ先に改札へ走る。
その途上でカードをデポジット機に吸い込ませ、500ウォンを回収することにも成功した。

勝手もわからない仁川空港を走り、トロトロと歩く団体を押しのけ、出発階へとたどり着く。
「T-way」の文字を見つけ、カウンターのお姉さんにプリントアウトした紙を見せた。

時刻は20時25分だった。
お姉さんは、日本人のマカオ入国要件について調べてくれていた。
そして私の予想通り何事もないことがわかったのか、日本語で「窓側?通路側?」と聞きチケットを発券してくれたのだった。

土産物屋で韓国のりのセットを購入した私は、これまた搭乗時刻ギリギリに飛行機へと滑り込んだのであった。
T-way航空の小さな機体は、乗客の、一人の日本人が死ぬ気で飛び乗ったことも知らずにふらふらと飛び立つ。

この旅の一か国目はドタバタのうちに終わったのである。
もちろん、これは今回の旅で出会うたくさんの「ドタバタ」の一つにしかすぎないのだが...。

飛行機は3時間半かけ黄海を越え、マカオへと着陸しようとしていた。


ぼっちで韓国・ソウルに行ったら楽しかった話 おわり