或る旅2

おでかけ記録です。ライブドアからはてなに移転しました

寒波迫る真冬の北国へ ③仙台→弘前

前回までのあらすじ
新潟から吹雪のなか日本海側を突き進む列車に揺られ、山形県の秘湯・銀山温泉に立ち寄ったあと仙台で牛タンを食べた。日本海側から一気に太平洋側へと抜けてきたが、この日は再び寒波が襲う日本海側へと向かう。

この日のルート
仙台→小牛田→前谷地→柳津→気仙沼→一ノ関→北上→横手→秋田→弘前→秋田
という予定だった。
しかし、やはり「年末寒波」がこの予定を狂わせることとなる。


本来、東北の太平洋側は雪が積もることはなく気候も比較的温暖なはずだ。
だがこの日の朝、幼馴染の住むアパートのドアを開けると、うっすらと雪が積もっている。
彼曰く、仙台は普段それほど寒くないのだが昨日の晩は珍しく寒かったのだという。
寒波は東北全体を覆っていたようである。

6:00仙台発の列車で東北本線を北上する。
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夜明けの小牛田駅。6:44
ここから少し「遠回り」をして北を目指すことにする。
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石巻線に乗る。7:11発
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朝日が昇ってきている。
雪こそ積もっているが、日本海側の暗い雰囲気とは異なる。
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前谷地にて乗り換え。
ここからは気仙沼線に乗り換える。のだが、「鉄道」には20分ほどしか乗らない。
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終点柳津から気仙沼までは気仙沼線BRT「バス高速輸送システム」で向かう。
8:06 柳津発

BRTはバス専用の道路を通行するバスである。
東日本大震災の影響で気仙沼線の柳津~気仙沼区間の線路は利用できなくなったが、このBRTという方式を利用することで見事に「復活」を遂げたのである。
なお、これも「JR気仙沼線」なので「青春18きっぷ」の利用は可能である。

BRTは噂通りバス専用道路を走る。
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鉄道用地の再利用なのでカーブやトンネルも鉄道そのものである。
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BRTは、専用道路を降りると一般道路を走行する。
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町も経由した。
沿岸部は更地に近い状態だったが、防潮堤工事のための重機が稼働しているのが見えた。
役場など街の中心的な施設が高台に移転しているようで、着々と復興は進んでいるようだった。
2019年1月現在、東日本大震災からはまもなく8年が経とうとしているが、三陸における地域の復興はまだまだ継続して進めるべき課題だと感じられる。
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現在のBRT志津川駅は、震災前に鉄道の「気仙沼線」の志津川駅のあった場所とは異なるようだ。
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10:00 約2時間の乗車で気仙沼駅に到着。
一般道路も通行するため、到着時刻は多少前後する。
BRTの専用道路も工事を進めているようで、いずれスピードも上がるのだろうと思われる。
乗客たちは引き続き大船渡線のBRTへと乗り換えていったが、トイレ無しのバスに3時間揺られるのはしんどいだろうなと思った。
ここからは再び「鉄道」に戻る。

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10:46 気仙沼発の大船渡線に乗車。
画像左手に曲がっていく「道路」は、先ほど乗ってきた「気仙沼線BRT」の専用道である。
このカーブの雰囲気は完全に鉄道のそれである。
震災前はこれがレールだったと思うと少し寂しい。

などと思っていたのも束の間...
大船渡線に乗車中、恐ろしい事実を知ってしまうことになる。

このあとの予定は、大船渡線で一ノ関に出たあと東北本線で北上まで行き、そこから北上線で横手まで向かうというものだ。
北上線はいわゆる「肋骨線」で、奥羽山脈越えをする路線である。途中には「ほっとゆだ駅」があることでも知られている。
ここ岩手県南部から日本海側に出るには、北上線田沢湖線が早いのだが後者は本数が極端に少ない。
北上線ももちろん多くはないが、たまたま時間が合うためにルートに選んでいたのだ。

さて、スマホを取り出しこの後の予定や運行状況を確かめる。
北上線 大雪のため運転見合わせ」
想定していないわけではなかったが、そっちか、という感じだった。
ツイッターでも乗客と思しき人々の生々しいツイートが表示されている。
再会見込みがないということで、本日中の北上線での移動は絶望的となった。

そうなると、もうあれしかない。あれしか...。
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12:07 一ノ関に到着。12:28発の盛岡行きに乗り換える。
本来降りるはずだった北上駅もスルーした。

私が出した結論はこれだ。
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盛岡14:14発の秋田新幹線こまちに乗れば、計画していた旅程の通りに移動できることが判明したのだった。

ところで、ご存じの方も多いかと思うが、新幹線こまち号は「全車指定席」、つまり自由席のない列車である。
つまり、本来は座席指定していないと乗車できない列車だ。
この年末の帰省ラッシュの時期、下りの新幹線に「空き」などあるわけがない。
表示器も、満席を示す「×」が書かれている。

それでは私は、こまち号に乗れないのだろうか。
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答えはノーだ。

JRの新幹線には「立席特急券」というものがある。
全車指定席の列車が満席となった時に発売され、文字通り座席の指定のない特急券が発券される。
この券があれば、デッキなどで文字通り「立ち乗り」することができるし、空席があれば着席することもできる(指定券を持つ乗客が乗ってきた場合は譲らなければならない)。
また、座席が確保されない代わりに、発売金額は通常期の特急料金の520円引きとなる。
考えようによっては”お得”だと思う。

さて、立席特急券について、条件などをまとめるとこの通り。
①全車指定席の新幹線が
②満席である場合にのみ購入可能
③座席は確保されないが空席があれば着席可能(指定券のある乗客が来れば譲る)
④価格は特急料金(通常期)の520円引

なお、数に限りがあるので、それも売り切れないと乗車できない。
...というわけで、学割と合わせて3600円という値段で盛岡から秋田へと移動することが可能なのであった。
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後ろにE5系はやぶさを連れてE6系こまちが入線。
まさかこの旅で新幹線(の列車)に乗ることになるとは...。

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数分遅れて発車したこまち号は、田沢湖線内を進む。
上で「新幹線の列車」とあえて書いたのは、盛岡から先は在来線を経由する「特急列車」という扱いになるためである。つまり「新幹線」だが「新幹線ではない」のだ。
我ながら何を言っているのかわからないが…。
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15:50 終点の秋田に到着。
在来線を走るこまち号が、お世辞にも「速い」とは言えないあたり秋田新幹線の高速化についての議論があるのも頷ける。
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ここからは奥羽本線普通列車でさらに北上する。
なんというか、この「前面」が道中の厳しさを物語っている。
16:27 定刻で青森行きの列車は発車。

吹雪の中を列車は駆け抜ける。
日も暮れ、視界はほとんどない。

そして、新潟でも聞いた「気象の関係で遅れが生じる可能性があります」との不穏なアナウンス...

果たして無事に弘前、そして最終目的地・青森へと到達できるのだろうか...。
つづく

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