或る旅2

おでかけ記録です。ライブドアからはてなに移転しました

「縁起の良い」駅へ

北海道に、「増毛(ましけ)」という縁起の良い名前の駅があることは、わりとよく知られていた話である。四国にある「半家(はげ)」駅と共に、「そういった関連」の話題の際には必ずといってよいほど登場していたと思う。
私自身、一度家族で稚内に行ったときに車で寄ったことがあった程度ではあったが、父親と一緒に「すごい駅名だね」と笑いあったものであった。

そんな増毛駅が、留萌本線の一部区間(留萌~増毛間)とともに2016年12月5日をもって廃止されることが決まったのである。私は居ても立ってもいられなくなった。

2016年8月

私は羽田空港を朝7時頃に離陸する全日空便に乗り込んだ。
行き先は北海道は新千歳空港である。

かつて私は5年ほど北海道に住んでいたのだが、6年前に本州に引っ越してきてからというもの2016年3月の北海道新幹線開業時までの間は一度も行っていなかった。
この夏、家族で久々に北海道に行こうという話になり、私はそのついである「場所」を目指すことにしたのである。それゆえ今回は、家族とは別行動で夜に札幌で合流することにしている。

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北の大地に降り立つ。
札幌へは「快速エアポート」が一番速い。

恵庭、北広島、と札幌に近づいていく。
この日はあいにくの天気だったが、やはり、畑の広がる沿線風景は北海道だという感じだった。
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札幌駅に到着。岩見沢方面へ向かう列車まで時間がある。
久々に札幌近郊の列車を見てみようと思う。
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手前から731系、733系、721系。
特に、733系は私が北海道を出たあとに登場した車両なので初めて見たことになる。
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手前は789系「特急スーパーカムイ」。
2017年のダイヤ改正によりこの名称は消滅してしまった。
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ここで乗車予定の岩見沢行き普通列車が到着。
どうやら札幌止まりの列車と切り離しを行ったようだ。

画面右手の733系で岩見沢へ向かう。

白石を出ると、列車は複々線区間を抜け千歳線と分かれる。
札幌のベッドタウンである厚別や江別などを過ぎると、いよいよ北海道らしい風景になっていく。
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岩見沢に到着。列車は折り返しの区間快速になるようだった。
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721系の旭川行き普通列車
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711系のイメージのほうが強かったから、「快速エアポート」な721系が旭川まで行くというのは不思議な感じがした。
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あいにくの天気で残念ではあったが、北海道らしい開けた畑の風景がみられた。
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12時頃、乗り換え駅である深川に到着。
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今度の発車は13:23である。
それまでしばらく時間があるのだが…
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ザ・北海道の地方都市の駅前という風景である。
そう、駅前に飲食店らしきものが見受けられないのである
雨も降っているし、時間も中途半端になるということで結局ローソンへ入ったのであった。

予想はしていたが、”同じ趣味”の方々が結構いるようであった。
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駅へ戻ると、留萌本線のキハ54が既に入線していた。
うーむ、一両では座席の確保が怪しい…
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予想通りであった。ボックスの座席は既に座られていて、ロングシートに座るほかなかった。
一両のディーゼルカーは、深川を出るとしばらくは平野を突き進み、途中で山を越えて留萌に到着。
留萌から先、廃止予定の区間は右手に日本海を眺めながら終着の増毛へと向かうのであった。

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そして増毛に到着。
ここまで一緒に来た、鉄オタの人々とは復路もご一緒することになるのだろう…
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この車止めが、何というか哀愁みたいなものを漂わせている。

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駅前の旅館もなんだか味があってよかった。
この駅前も、栄えていた時代があったのだろうか。

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駅にはお土産屋さんも併設されていて、海産物なども購入できた。

さて、この駅に来た目的というのは、何もただブラブラ見るだけではない。
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これが撮りたかった。将来ハゲたくないのだ。

こういうネタをやりたく、わざわざ朝早くの便で北海道へやってきたのである。
実は今回は一人での移動なので、この写真を撮るにあたっては三脚を使用している。
最初は近くの人に頼もうかと思ったが、何というか、そこにいた「彼」の頭頂部が、何か「コンプレックスを抱えていそう」だったので、失礼にあたると思い1人で実行したのであった。

折り返しの時間となった。
先ほどの列車は、深川行きとなって再びドアを開けた。
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海を左手に眺めながら進む。
開けた窓からは、潮の香りと夏の北海道のさわやかな風が入ってくる。
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舎熊駅
車掌車の改造駅舎にも見えるがどうなのだろうか。

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日本海を眺めながら走る。
線路の状態は、あまり良いとはいえないように思えた。

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礼受駅。こちらもまた車掌車の改造によるものだと思われる。
なかなか”味”がある。
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左手に見える日本海
瀬越駅を出ると、線路は右にカーブし留萌駅へと入っていく。
海岸線とはお別れである。
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留萌駅に到着。一旦降りて増毛方面を見てみる。
2016年冬以降は、列車が走らなくなる線路である。
増毛方面へ向かう際に列車は鉄橋を渡る。留萌本線は左側の橋を渡る。右側はかつての留萌鉄道の鉄橋だ。2016年冬の留萌~増毛間の廃止で、どちらの鉄橋も使用されなくなる。

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列車は内陸に向け畑の中を走る。時刻はもう夕方になっている。
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雨の止んだ深川駅。ここでまた岩見沢方面の列車を待つ。
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運賃表の留萌~増毛の区間は削除されるのだろう。
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夕焼け、旭川方面の列車と架線柱にとまる鳥たち
到着した岩見沢行きの列車に乗り込む。
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畑の真ん中を走る。
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一日中雨が降っていたからか、夕暮れの空がすごい色になっていた。
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途中の奈井江(ないえ)駅で特急の通過待ちを行う。
駅は静寂に包まれている。
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高速で通過していく列車。札幌と旭川を結ぶ特急スーパーカムイだ。
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岩見沢に到着。
さて、ここから札幌へ戻るわけだが、なんともまあ接続がよろしくない。
普通列車の待ち時間が異様に長いのである。
完全な一人旅だったらいいのだが、今回ばかりは家族と合流するということもあってあまり遅く到着することもできない。
こうなればもう、あれしかない。
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特急課金である。
岩見沢~札幌間は特急スーパーカムイで一駅。速いのなんの。
しかも車両は
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785系だったのである(札幌駅で撮影)。
785系は、2017年3月のダイヤ改正で札幌~旭川間での運行は終了している。
この時が本当にラストだったのである。
スーパーカムイ」という名称しかり、この札幌~旭川間における785系しかり、無意識のうちに「お別れ」していたというのは奇跡である。
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増毛駅」への長い長い旅を終え、札幌に到着。

その後家族と合流し、エスタ10階にある「ら~めん共和国」内にあるお店のラーメンで優勝、
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JRタワーに上るなどして久々の札幌を楽しんだのであった…

先述の通りだが、増毛駅はこの年(2016年)の12月をもって営業を終了した。
そのインパクトある駅名はもちろんだったが、そこに至るまでの路線や駅やその周辺の雰囲気もよかったために、無くなってしまったことは大変惜しいことだと思う。

JR北海道で維持が困難な路線は、留萌本線だけではない。札幌圏以外では多くの路線が危機を迎えている。一方で、報道が多くなされているが、地元自治体などの態度もあまりよろしいものではないと個人的には思う。
九州などの成功とは対照的な北海道の様子については、分割民営化当時の政策自体に対する疑問の声もあり、確かにその通りだとは思うが、時間を戻すことはできないのは確かなことである。
インフラたる鉄道については、地元自治体などがより責任をもつ必要があるのではないか(それはもちろん「維持」を訴え続けるだけではなく、「廃止」という判断を下すことも含めて)。

今後、JR北海道のローカル線がどうなっていくかに注目していきたい。
そして願わくは、廃止の議論になる前に乗っておきたいものである。


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