或る旅2

おでかけ記録です。ライブドアからはてなに移転しました

東南アジアをリュック一つで”歩いて”みた

2018年3月末

マレー半島の先端・シンガポールからマレーシアを経てタイへ抜け、そこからカンボジアに向かうというルートでの「一人旅」を10日間の日程で敢行した。
ここでは旅行全体の感想と、今後似たようなルートや東南アジアの周遊旅行を検討している方の参考になればといくつか情報を示しておきたい。

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今回のルート。赤が陸路、水色が空路である。

目次
東南アジアの魅力
移動について
宿について
用意すべき物について
その他

東南アジアの魅力

東南アジアの魅力は挙げればキリがないのだが、
・物価の安さ
・日本からの距離
・文化的な面白さ
・寛容な人々
・英語が通じる
・治安が良い
などがメリットとしてはある。

なんでも安い
物価の安さについては、誰しも容易に想像がつくとは思う。
食事についても屋台で食べれば一食200円程度で済むし、宿もバンコクでは1000円も出せば清潔でプライバシーの確保された個室に泊まることができる。
全体的に低コストで旅行ができるのも、これによるものであることは明らかである。
今回もトータルの費用は15万円程度(Wi-Fiや保険含め)だった。

また、日本からの距離の近さも、飛行機の搭乗時間が直行便で5~6時間で抑えられるという点で気軽に行ける距離であるといえるだろう。

東南アジアは「面白い」
文化的に面白い、というのは、我々と同じ”アジア人”でありながら日本とは全く違う文化を体験できるということである。
マレーシアやカンボジアなどは、かつて欧米列強の植民地であったという歴史が言語や文化などに垣間見えたりするし、シンガポールは中国系住民やインド系住民といった多くの民族で構成されている国であり、一つの国にいながら様々な文化を楽しむことができる。
タイは東南アジアでは唯一植民地にならなかったこともあり、古くからの仏教文化をそのまま残している。歩いているだけで古き良きアジアというのを肌で体感できるのである。

東南アジアに暮らす人々は、基本的に旅行者には寛容で、わからないことを尋ねれば教えてくれる。
シンガポールでは英語は公用語だし、マレーシアもかつてイギリス植民地であったこともあり、現代でも英語を操れる人は多い。
一方、タイではお年寄りなどで英語ができないという人は少なくない。それでも、お互いに必死に伝えようと努力すれば「なんとなく」ではあるが簡単な英単語でのやり取りは可能であるし、コミュニケーションで困ることは殆どないだろう。むろん、緊急時などはこの限りではないだろうが。

危ないのはどこへ行っても同じ
治安について、よく「アジアは危ないのでは」という声が聞かれるのだが、これについての答えは簡単である。
「危険な場所は危険だし、危険でない場所は危険ではない」
日本と同じであることは強調したい。日本だって、安全な場所もあれば危険な場所はある。よく「発展途上国だから」とレッテルを貼っている人がいるが、私はそういう人を見ると自身の世界を狭めていて残念だなと感じてしまう。
むろん安全第一なのは当たり前である。
日本人を狙う人々がいるのは事実であるし、だからこそ我々も「むやみに人を信頼して付いて行ったりしない」とかそういう自衛は必要だ。例えば保険に加入するというのも方法としてはあるだろう。
だが、"自衛"が行き過ぎて「現地の人との繋がり」を持てなくなってしまっては、旅としては少し寂しいなと個人的には感じる(これについては様々な意見があって良いけれど)。
その辺の「さじ加減」も難しいが、アジアを歩いているとなんとなく身に付くような気がする。

今回の旅行でも、列車で一緒になった現地の人と仲良くなったり、いろいろな「出会い」があった。
これについてはアジア旅行に限らないが、旅行で得られる何にも代えがたい楽しみの一つだったりする。

移動について

現地での移動手段は、
①鉄道、地下鉄
②バス
Uber
トゥクトゥク、タクシー
⑤飛行機
などである。今回の旅行に際してのコストのほとんどは移動費だったが、そもそも交通費自体があまり高くないこともあって旅行全体が低コストで済んでいる。

①鉄道
マレー半島シンガポール北部からバンコクまでいわゆる「マレー鉄道」と呼ばれるルートで結ばれてはいるものの、本数はそこまで多くなかったり、接続があまりよくなかったりする。
また、マレーシア国内を走る「ETS」という特急列車は、すぐに満席になってしまうので公式サイトから要予約である。
このマレー鉄道のルートの詳細については今後記事にしたい。
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マレー鉄道西海岸線を走る「ETS」という特急列車。新幹線のポジションではあるが、路線は在来線。

シンガポール、クアラルンプール、バンコクなどの大都市では地下鉄路線が広がっている。
各都市とも路線数や本数も多いが、「線路が交差してるのにどうして乗り換えできないの」という場所とか、「行きたい場所までの路線がない」とか、チケット売り場に遊園地並みの長蛇の列が出来るなど、まだまだ改善の余地はありそうだ。
一方、我々旅行者の側も、「地下鉄で行きにくい場所に宿を取らない」とか「フリーきっぷを購入してチケット売り場に並ばないようにする」などの工夫は可能ではある。
こうした欠点がまだまだある地下鉄の隙間を埋めるのがバスの仕事だったりするのだ

②バス
バスは日本と同じように都市内や都市間を移動するのに便利である。
都市内ではローカルバスが活躍している。
バンコクなどでは、クーラーの有無などで料金が変わったりするものの一回数十円で乗れるなど非常に安い値段で移動ができる。ただ、観光客向けでない上に車内放送もないオンボロバスで、大都市特有の大渋滞に巻き込まれるなんてこともあり、何かしらの我慢が必要である。
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日本では骨董品レベルのバスが平然と走り回るタイの首都バンコク

また、都市間のバスは、日本のような大型のバスもあるが、中型のバンのような車に乗り合わせるスタイルも多い。カンボジアのポイペトからシェムリアップまでのバスは、10米ドルだったが「定員が揃ってから」発車という、まあなんとものんびりとしたものであった。
狭い車内では(赤の他人だが)同じ旅人どうしで会話も弾み、楽しかったというのが思い出ではある。

Uber
アメリカ発祥のアプリでご存じの方も多いだろう。
アプリ上の地図で現在地をタップし、行き先を入力し確定すると、近くを走るドライバーが迎えに来てくれる。行き先は既にアプリを通じて伝わっているので、頑張って伝える必要はない。
クレジットカード決済に設定すれば現金のやりとりも不要であり、基本的にはドライバーとの会話も必要とされていない。そして料金も、タクシーに比べれば安価であり、使いやすかった。
ただ、「白タクなのでは」との指摘もあったり、ドライバーもあくまで「小遣い稼ぎ」とかドライブ好きとかの一般人であるということも留意されたい。

④タクシー、トゥクトゥク
タクシーは日本と同様のシステムであるし、トゥクトゥクも、原付の後ろに荷台が付いているだけのタイプやオート三輪のタイプがあったり形は違えど、システムは殆どタクシーと同じである。
料金は、その便利さゆえにバスやその他の交通機関よりも割高である。
それゆえ、乗る前に必ず「値段交渉」をしておく必要がある。
サービスを受け始めた後では、ドライバーに対抗することができずぼったくられる可能性が高い。
トラブルを避けるためにも、事前に料金の話をしておくべきである。
値切り交渉次第では安く連れて行ってもらえる可能性もあるので、話しておいて損はない。

⑤飛行機
一番お金のかかる乗り物である。
今回は行きと帰りのほか、シェムリアップからバンコクまでの移動でも利用した。
地域内での飛行機移動については、やはりお金はかかるが、シェムリアップバンコクは空路45分に対し陸路移動は一日掛かる、ということを考えればお金で「時間」を買っている感覚といえよう。

今回使ったサイトは「スカイスキャナー」である。
日程、出発地・目的地を入力すれば自動的に複数サイトから複数ルートを検索して表示してくれる。
そのため、今回も往路は中国国際航空で東京→北京→シンガポール、という想像もしなかったルートで移動することとなった。
シェムリアップバンコクバンコク→東京の移動はエアアジアで、いずれも直前の予約になったのであまり安価ではなかった。
各航空会社のセール期間を利用すれば、もう少し抑えられた経費だったと反省はしている。

宿について

先述の通り、宿は1000円も出せば個室に泊まれる。
「個室じゃない宿」があるのかというご指摘があるだろうが、実は今回の旅行ではほとんど個室には泊まっていない。
一泊500円~800円のユースホステルは、二段ベッドが4つぐらいポンポンと置いてある部屋に案内される。既に先客がいたり、はたまた誰もいなくて貸切状態だったりと、部屋がどうかは運次第という部分はある。
同室にいる客層も様々で、アジア風の女性が一人で泊まっていたり、西洋人がカップルで利用していたり、オッサンがぐーぐーとイビキを掻いていたりする。同じ部屋だからといって、彼らと特別に「仲良くなる」必要はない。今回も互いに不干渉で過ごしていた。
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数人で一部屋をシェア。

また、先客がいる場合の問題点は、「コンセント争奪戦」になることである。
部屋あたり一つしかコンセントがない場合、そこにタコ足が繋がれているだけだったりする。
8人くらいが同じ部屋にいるのだから、必然的に足りなくなるのは当然である。
そのあたりは客同士でコミュニケーションを取る必要はある。とはいえ、「コンセントを使っていいか?」などと聞いてから使うなど、その程度で良い。
トラブルなく気持ちよく過ごせるために工夫するべきである。

安価とはいえ、無料wi-fiが利用できたり朝食付きであったり、ユースホステルとはいえ侮れない。
が、東南アジアのユースホステルの利用時にはいくつか注意すべきことがある。
・寒い
マレーシアの鉄道も同様だが、とにかく彼らは冷房をガンガンに使うのだ。
部屋から設定温度を変更できない場合や、他の客がいるためにむやみにいじれない場合など、さまざまではあるが、これについての対策は「自衛」しかないと考えられる。
これだけ冷えててもベッドにはタオルケット一枚しか置いてなかったりするので、パーカーはもちろん自分が持っている全ての衣服を身に付けるくらいの勢いで寝た。
しかし、部屋の外に出ると、日本の真夏のような気温と湿気が襲ってくる。体調を崩さないよう気を付ける必要がある。

・シャワーの問題
シャワーからお湯が出る宿には感動した。それくらいに、多くの宿では水しか出てこないのである。
まあ、外が暑いのでそれで良いといえば良いのだろうが、何となく気分としてはお湯が出てほしい感じはする。
また、「シャワー付き」であったとしてもシャンプーやタオルなどが備え付けられていることはまずないと考えたほうがいい。これについては後述したい。
個人的には、毎日シャワーは浴びたい派だったのだが、今回の旅行中は3~4日ほど入らない期間もあって、それについて何とも思わなくなってしまったので慣れというのは恐ろしいものだと感じている。

宿の予約については、日本で「Booking.com」などのサイトで行ったのがメインだったが、現地で予約したりその場で決めたところもあった。

用意すべき物について


<リスト>
・リュックサック
・パスポート
・着替え
・歯ブラシ etc...
と、まあ当然に必要なものについては割愛するが、「あって便利だったもの」については以下に示しておきたい。
①圧縮袋
②シャンプー、速乾タオル
③レンタルWi-Fi
④変換プラグ

①圧縮袋
今回は機動性を高めるために30リットルサイズのリュックサックを利用した。
大き目ではあるが、やはり収容量には限界がある。そのために、できるだけ荷物は「小さく(×軽く)」する必要があった。
東南アジアの良さは、温暖な気候なのでかさばるような衣服が必要なく、Tシャツをいくつか用意すればそれで事足りるという点である。とはいえ、衣服それ自体が非常にかさばるので、この圧縮袋に詰め込み極力小さくすることでリュックをより有効に使えるのである。

②シャンプー、速乾タオル
宿に、シャンプーやタオルが備え付けられていない場合が多いことについて言及した。
「湯シャン(水の場合が多いけれど)」で良いという人なら構わないが、個人的にはあった方がよかった。ただ、今回は日本で購入し忘れたので現地のセブンイレブンで調達した。入手には苦労しないので、あまり深く考えなくてもよいだろう。
一方、タオルがないとシャワー自体入れなくなってしまうので持って行くべきである。
ただ、普通のタオルでは非常にかさばるというのが問題だ。
そこで、比較的薄く、一晩で乾いてくれる「速乾タオル」は重宝した。

③レンタルWi-Fi
今回の東南アジアのバックパック旅行は沢木耕太郎の『深夜特急』のリスペクトという意味も少なからずあるが、彼が旅した時代と決定的に違っている点がある。
スマートフォンおよびインターネットの存在である。

いわゆる文明の利器というやつではあるし、「なくてもなんとかなる」とする声も少なくはない。
が、これらによって旅行がスムーズになったことは間違いない。
特に、地図や食事の情報や、宿や飛行機の予約も現地からその場で出来るというのは大きかった。
今回もカンボジア行きを決めたのはマレーシア滞在中のことだったし、飛行機を予約したのも現地だ。
また、シェムリアップでは宿を予め予約していなかったので宿探しのために街中をうろうろしていたのだが、そもそも「どこに宿があるのか」がわからない中で飛び込むのは難しいものである。
予約サイトで、ある程度「評価の良い」宿を予め確認したあとで、宿に突撃するという手法で宿を決めたりもした。

公共Wi-Fiの整備が進んでいるとはいえ、外でインターネットが使えるかどうかというのは時間短縮にも関わる大きな違いだと感じた。
容量や期間にもよるが、日本にも複数のレンタルWi-Fi業者が存在しており、それぞれ価格などが異なっているからよく比較して利用したほうが良い。
ちなみに今回使ったのは、「Jetfi」という会社だった。

④変換プラグ
コンセントのプラグの形状は国によって異なる。
日本はでよく見かけるあのコンセントは「Aタイプ」と呼ばれるもの。
北米や、今回行ったタイやカンボジアなどでは「Aタイプ」なので日本の製品がそのまま利用できるが、マレーシアやシンガポールなどは「BFタイプ」という形状なのでプラグを挿し込むことができない。
そのため、日本で予め変換用のプラグを購入しておく必要がある。
充電ができなくなってしまっては、せっかくの景色も撮影できなくなるし、ネットで情報を得ることもできなくなる。
忘れがちだけれど、気を付けたほうが良いポイントといえるだろう。


その他

情報の必要性
やはり旅人が現地で最も必要とするのは「コミュニケーション」と「情報」だと感じた。
表示も十分でない場所は多いし、必要な手続きを怠ったりすると、例えば国境越えの際には「入国禁止」という措置を取られてしまい、大変なことになってしまう場合もある。
「知らなかった」では済まされない事態も起こりかねないので、やはり、事前に「調べる」のと、そこでいろいろな人に「聞く」ということは必要不可欠なのだ。
英語力云々の問題ではなく、とにかく「伝える」ことを優先させ、身振り手振りも交えてコミュニケーションを取るべきだと思う。

両替について
どうやら日本では、東南アジアの通貨はレートはあまりよろしくないようだ。現地で調達するのが望ましい。ただ、現地でもレートの良し悪しはずいぶんと変わってくるので、ここもやはり「情報」が最重要になる。損するのも得するのも、自分次第なのだ。
なお、通貨がいちいち違う東南アジアでは、「一万円単位」よりも「千円札」を大量に持って行くのが楽だった。数千円単位で両替することで無駄が省ける。
また、カンボジアでは米ドルのほうが使いやすいし、他の国でも米ドルが使用可能な店もあるので、米ドルに両替しておくというのも手としてはあると思う。ちなみに今回は千円札と米ドル(1万円分)を併用した。

おわりに
ここまで東南アジア周遊を通して思ったことや、今後東南アジアに行く方に共有しておきたい情報をいくつか挙げておいた。もちろんこの旅行は、全てがスムーズに行ったわけではないし電車に乗り遅れかけたり、いろいろな意味で「危ない」タイミングがあったのは事実である。また、「危ない人」などには最大限警戒していたし、その甲斐あってか何もトラブルはなかったが、それもまた「運がよかった」だけなのかもしれないとは思っている。
だが、今回挑戦してみていろいろ学べた点もあったので、また東南アジアか、違う国か、いろいろ出かけてみたいと考えている。


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