或る旅2

おでかけ記録です。ライブドアからはてなに移転しました

マレー縦断鉄道旅 ⑦不安だらけのマレーシア出国


昨日はペナン島で丸一日過ごした(前回・前々回参照)。
この日はいよいよ、寝台列車に乗ってマレーシアを脱出する。タイ時間の夕方18:40(マレーシア時間では17:40)にパダンベサール発の予定だ。

インターネットの情報によると、夕方にはイミグレーションが閉まってしまうらしい。
そしてイミグレーションを通らずに出入国をしない状態でマレーシアの列車から乗り換えると…
「タイへの不法入国扱いになり、タイ入国が5年間禁止される」
という恐ろしい記述を発見。

事前に調べたなかで最もショッキングなものだったので、今回の旅では一番気を付けなければと思っていたポイントであった。


とはいえ、朝起きてから昼間では余裕がある。
しばらくユースホステルの主人と雑談などしていた。
「この先の旅はどんな予定?」
彼が訊く。私は、
「これからパダンベサールに行って、そこからタイに入ります」
「おおー、いいね!そういえばマラッカには行ったの?」
「いや、今回は行ってない」
「行ってないの!?あそこも綺麗だし世界遺産だから行くべきだよ~!」

マラッカを強く推された。
鉄道では行きにくいとされる場所だったので今回はパスしたのだが、綺麗だとは聞く。
次にマレーシアに来る際はぜひとも寄りたいところではある。

と、そんなこんなであっという間に昼になってしまった。
バタワース発パダンベサール行きの列車は12:22発。その次は2時間後だった。
ダンベサールまでは2時間程度の移動で、到着するのは14時半ごろ。
かなり早く着いてしまうが、イミグレーションがどうなるかわからないという点を考えると、到着が16時になる次の列車ではなく、この列車に乗るほうが安全といえよう。

というわけでペナン島のフェリーターミナルに急ぐ。
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が、こういう時に限ってフェリーが来ない…
11:50くらいに、フェリーは車と乗客を詰め込みゆっくりと動きだす。
ペナン島から本土のバタワースまでは約20分、そこから駅まではバスで3~4分。
そのあとにきっぷも買わねばならないのでかなりギリギリだな…
そんな私の焦りとは裏腹に、フェリーは相変わらずのんびりと海を渡っている。
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ペナンを離れるとすぐ右手に、昨日訪れた海上集落が見える。本当に海の上にあるんだなぁ...。
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ペナン大橋。大型の貨物船も行き来する。

20分後、バタワースのターミナルに到着。
人も車ものんびりと降りていく。
私は意味がないとわかっていながらも、走ってシャトルバスに一番乗りした。
もちろん、ある程度乗客が来ないとバスは発車しない。

それにしても皆のんびりしている。
この時点で、列車の発車時刻までは10分程度であった。
そして、こういう時に限ってバスは信号に引っかかる。
あぁ~もう~

発車まで残り5分になろうかというときにバタワース駅に到着。
ドアが開いた瞬間にダッシュで駅舎に向かう。
一番の不安要素だったきっぷ売り場だが、幸いにもそこまで混雑していない。
「パダンベサール、大人一枚」
そう告げると、駅員は慣れたようにきっぷを出してきた。

改札係員にきっぷを見せ、橋上駅舎の階段を駆け降りてホームにたどり着いた瞬間、ホームに列車が滑り込んでくるのが目に入った。
時刻は12:21だった。

始発駅なのだが、折り返しの時間は1分程度のようだ。
座席に座った瞬間、ドアが閉まり列車は動き出す。
奇跡的に間に合ったのだ。

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列車はどちらかというと、「通勤電車」という雰囲気であった。すべてロングシートである。
なんだか「旅」感がないけれど、そんなのは18きっぷ静岡県を通過するので慣れっこだ。

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約2時間で終点・パダンベサール(Padang Besar)に到着。

列車からは大勢の人々が降りて行ったが、必ずしも皆が国境を越えるというわけではなさそうである。

イミグレーションはホームの先にあるので向かう。が、
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まだやっていないのである...。

近くにいる人に聞いてみた。
「イミグレーションは...?」
「いま昼休みらしい。彼らがいつ帰ってくるかはわからん」
とのこと...。

自由すぎやしないか...。
まあいいか。

タイでは、入国に際し入国カードの記入が義務付けられている。
イミグレーション付近でふらふらしていたら、関係者と思われる女性が入国カードを配っていた。

記入するも、まだまだ時間はある。
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ETS特急はひっきりなしに発着している。わりと本数は多いように思える。

しばらくすると、係員らしき男が「外に出て待ってろ、時間になったら呼ぶから」と言い、待機していた我々を日本の真夏のような炎天下の屋外のホームに並ばせた。

前に並んでいた男性二人が日本語を話していたので、思わず話しかけてしまう。
「に、日本人の方ですよね…?」
そういえば今回の旅で初めて日本語を使ったような気がする。5日ぶりだ…。
「そ、そうですけど…」
まあ当たり前なのだが…。
彼らは、列車でタイに向かうのは同じなのだが、私と違ってハジャイ(ハート・ヤイ)という駅始発の列車で向かうらしい。

外国人旅行者は少なからずいるけれど、このルートを取る日本人が他にもいたとは...。

高温多湿の中、ホームで待つこと30分。
まだ開かない。
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今度は一番線からETS特急が発車していく。
なんというか、この高速鉄道がタイからシンガポールに至るまでマレー半島全体を結べるようになったら強くなれるのになとは感じた。


外で待たされてから1時間と10分ほどが経過。
ようやく係員たちが動き始める。
いよいよか、と思ったら...

「なんか列車が”到着”したみたいっすね」
日本人男性の一人が言った。

列車から降りてきた風の人々がダラダラと歩いているのが見える。
到着した列車の客の入国審査をしているのだ。

しっかしまあ、この「到着客」が恐ろしくのろいのである...。

そして、とんでもないことが判明したのだ。

「もう発車時刻過ぎてるんだよなぁ」
男性の一人が笑っている。彼らの乗る列車の発車時刻はとっくに過ぎているのだという。
だが、周りの乗客や係員は誰一人焦っている様子がない。
「日本じゃありえないですね」などと笑い合った。
みんな本当にのんびりしているのだ。

そして1時間半が経過しようかという頃、ようやく我々は通された。

マレーシア出国はすぐに終わったが、タイの入国審査に向かう通路で
「きっぷを見せろ」と係員に止められる。
見せると、「あー少し待ってくれ」とのこと。

先ほどの男性たちが乗る、ハジャイ行き列車の乗客を優先させるのだろう。
私はそこからしばらくベンチで待っていたのだった。
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ハジャイ行きのシャトル列車。ハジャイでバンコク行き夜行列車に接続する。
マレーシアの近代的な駅舎にタイ国鉄の車両が乗り入れている。

日本人男性らはタイのイミグレーションを済ませたようで、気づいたら消えていた。
そしてこのシャトル列車も、ディーゼルの音を響かせながら出発していった。

しばらくすると、パダンベサール始発の乗客たちの入国審査も始まった。

仏頂面の審査官にスタンプを押されると、正式にタイへの入国が完了したのであった。
これにて二度目の国境越えは無事に完了...。

時刻は既に16時を回っていた。

さあ、あとは待ちに待った寝台列車に乗るだけだ…!!

つづく


おまけ
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タイとマレーシアを自由に行き来する猫

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